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Life & Work取材記事

地方のブランディングで見えてきたデザイン、そして神戸の可能性

持続性、一貫性、具体性を大切に

 

神戸育ちですが、大学、デザイン事務所で10年ほど東京で過ごした後、神戸に戻って独立しました。企業のブランディングや商品のプロモーションなどを手がけてきましたが、その一つが神戸ビーフのブランディングです。依頼を受けたのは2008年。リーマンショックで売り上げが落ち込んだ時期でした。法人の接待需要は捨て、インバウンドとマダムのランチにターゲットを絞りました。10年かけてようやく成果が出てきたと感じています。ブランディングで大事なのは一定期間持続させることと、一貫性、具体性、理論性を持つことです。神戸ビーフでもそれを大切にしました。

神戸肉流通推進協議会

 

さまざまな縁で仕事が全国に広がりつつあります。その一つが、明治末期に開業したJR肥薩線大畑(おこば)駅の旧保線詰所をレストランに再生したプロジェクト。地域のどの古民家でレストランをするかという始めの段階からかかわらせていただき、目を付けたのが月に7人しか乗降客のない古びた駅舎でした。地元の人からは、「こんな山の中にお客様が来てくれるのか?!」と言われたのですが、私はミシュランの星がとれるフレンチレストランを提案しました。商圏は車で1時間半。マダムがわざわざやってきたいと思えるような店にし、地域の方がさらなる誇りを持てる高付加価値のモデルを作ろうと思ったのです。

CLASSIC RAILWAY HOTEL 人吉球磨

 

 

ゴールを明確にイメージし、そこから逆算する

 

ブランディングを考える時、私はまずゴールをイメージします。肥薩線のレストランでは、おしゃれなマダムで満席になった店の状況、インテリア、どんなスタッフがどんな制服を着ていて、どんなBGMが流れているかを具体的に思い描きました。さらに、取り上げられる記事の見出しだけで行ってみたいと思わせるようなキーワードを抽出し、そこから逆算して何をしていかなければいけないかを考えました。古民家駅舎フレンチレストランは2018年9月にオープンし、現在のレストランのお客様は月700人にまで増えています。

できあがった商品を都会でどう売るかを考えるより、私はデザインがまだ入り込んでいない地方でゼロからどんなものをつくり、どうブランディングして、どう売るかを考える仕事にやりがいを感じています。もちろん、難易度はとても高いです。

地方での仕事で大切にしているのは、第三者の視点でその土地の風土、歴史からそこにしかない唯一性を見抜くこと。そのときに既成概念にとらわれないこと。そして経営の視点も欠かせません。器だけかっこよくてもお客様はいらして下さいませんから。商圏を考え、ターゲットを絞り、客単価と客数を決めていく。そこまでできて初めて事業になり、地域の宝がさらに磨かれていくのです。

あとは人のリソース。そのシェフだから来たいと思わせるコンテンツは何より大事です。地方に行きたいと考えているシェフやサービスマンを確保する手法も考えていかなければと思っています。いったんは東京に出ていった人がまた帰りたいと思えるような場が作れればよいですね。

 

首都圏を意識するのではなく、「回れ右」をしてみる

 

秋田や熊本などの地方で仕事をするようになって、地方都市神戸のこともより客観的に見られるようになりました。空港があって、新幹線があって、どこへも行けて、どこからも来てもらえる。なんと神戸は恵まれていることか。神戸は人の暮らしぶりこそが魅力です。朝にお気に入りの店で焼きたてのパンを買って朝食をとる、素敵な邸宅でティーサロンを開く、そんな日常の暮らしぶりを体験してもらうのが神戸らしいコンテンツだと思っています。

それをどこに向けてプロモーションをするか。わたしは、首都圏ではなく「回れ右」をして九州や山陰、瀬戸内といった西に目を向ける、更には、海外に発信するほうが面白いと思っています。既成概念にとらわれない発想で、地方をそして神戸を元気にしていきたいですね。

インタビューを受けたクリエイター

星加 ルリコ
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