2020.02.20
クリエイティブとビジネスが交差するトークイベント「CROSS」(全6回シリーズ)の第4回目が、2月4日にCOCCAにて開催されました。テーマは「ケーススタディ1フェリシモ×明後日デザイン制作所YOU+MORE!の事例から」です。
ゲストは株式会社フェリシモで、高い企画力が魅力のブランド「YOU+MORE!」で商品開発を手掛けるチームリーダーの松本竜平さんと、プランナーの楢﨑友里さん。そして「YOU+MORE!」のデザインリニューアルにあたり、ロゴマークなどのデザインを担当した明後日デザイン制作所の近藤聡さんです。パネルディスカッションの進行は、日本の地方をテーマに本づくり、雑誌編集を行う神戸の会社「Re:S」の編集者、竹内厚さんに務めていただきました。
前半ではゲストのお仕事について紹介していただき、後半のパネルディスカッションでは、「YOU+MORE!」デザインリニューアルの経緯や、お互いに大変だったこと、企画力の秘密もお話しいただきました。
「深さ」が決め手になった
「YOU+MORE!」は「すっかり見慣れた日常が、もっと楽しく、もっと笑えるように」のコンセプトで、クスッと笑える様々な生活雑貨を展開するブランドです。楢﨑さんに今までにご自身が担当した牡蠣のクッションや深海魚の靴下などをご紹介いただきました。
「YOU+MORE!」のデザインをリニューアルするにあたり、いくつもあるデザイン会社から明後日デザイン制作所を選んだ決め手は、「近藤さんがビジュアルだけじゃなくてコンセプトの掘り下げまで真摯に向き合ってくれたこと」だそう。「フェリシモとしても依頼するときにブランドの方向性を決めきれていない状況だった中、近藤さんがブランドのコンセプトに関わる部分まで提案したことで、「YOU+MORE!」のチームとしても進むべき方向が見えたと松本さんは言います。
ブランドアイデンティティは「言語化」から生まれる
近藤さんが担当したのは「YOU+MORE!」のデザインの部分。しかし、提案の段階では「YOU+MORE!」のコンセプトやありたい姿などを言語化し、図化することで、イメージの共有を行ったそう。これに対し竹内さんは「実はデザイナーってすごく言語化能力が重要で、企業とクリエイティブが協働するときに、言葉をあいだに入れることで、よりお互いのすり合わせがうまく行きますよね」と指摘。これを聞いた松本さんは、「楢﨑も言語化能力がすごく高いと思います。一見訳のわからない商品ですが、説明させるとしっかり筋が通っているんですよね」と付け足しました。
ブランドアイデンティティは、依頼する企業の内部でも、曖昧になったり、見失ったりしてしまう時があります。なんとなくのイメージはあるけれど、言葉にすることが難しい。今回のCROSSでは、それをクリエイターが言語化、可視化することで、ブランドアイデンティティが明確化される過程を感じることができました。
次回のCROSS は、 「デザイン思考を身につける -モノの成り立ちを変える「代役」の発想- 」をテーマに、オープンスペースDEPで開催されます。ゲストは、神戸芸術工科大学プロダクト・インテリアデザイン学科・教授の向井幸さんとトキオカデザイン代表の時岡 佑太さんです。企業に勤める方を中心に、クリエイティブシンキングを体験するワークショップが2日連続で体験できるそう。ご興味のある方はぜひお申し込みください。