マッチング事例

2020.08.01

【ものデザインコラボLAB】開発事例:小売店(鞄など) スタジオキイチ(株式会社喜市)

国産の皮革を使った鞄や小物などを販売しております。店舗は神戸の元町商店街にスタジオキイチという店があり、Walzという別ブランドの店もその向かいにあります。

 

国産の皮革(姫路市、龍野市)を使って、神戸で企画して、デザインしてものづくりすることで神戸ブランドを広く発信していくことを目指しています。

 

Q:コラボラボに参加したきっかけを教えてください。

 

元町商店街で新しく「Walz」というブランドを展開し、お店を始めるという時に、同じ皮革を使って何ができるのか、ということをコラボラボで勉強したいと思って参加しました。

 

神戸市さんが配られていた、講演の案内などのチラシが知るきっかけだったと思います。内容も、一回限りではなく、企業ごとに定期的に掘り下げていくというスタイルだったので、面白そうだと思って参加しました。初年度ということもあり、前例はありませんでしたが、セメントプロデュースデザイン社の耳かきやクリップなどを見て、そのような発想を神戸ブランドに置き換えて商品開発をしていけたらと思っていました。

 

それまではデザイナーと組んで何かを開発する、ということがなかったので、やるからにはしっかりやりたいと思いました。ギフトショーへの出展などの目標があったのもよかったですね。あと、参加費が安かったのも(笑)

 

Q:実際にコラボラボに取り組まれた内容を教えてください

 

まず初めにに取り組んだのは自社分析です。それまでは、市場を見ながら今後どうなるかを考えて商品をつくっていました。一方でコラボラボは自社自身の分析の比重も大きく、それがあったとこがよかったと思います。

 

他にはSWOT分析という、自社の強みや生かせそうな資源を活用する資料を使って、自社でできそうなことを洗い出していきました。商品を自社で全部作っているので、小ロットで、お客の要望に対して1から作れるのが自社の強みだとわかりました。そこからのフィードバックをまた製品に活かして、自社の店舗があるので、そこで生の声を集められるところも良いと思いましたね。

 

Q.2年目はどのようなことをされましたか?

 

2年目は、1年目で出来た企画の試作をすすめていきました。もともと倉敷の帆布の型屋さんと知り合いだったのですが、その帆布と兵庫の皮革を組み合わせて、顧客の使用シーンに合わせたような鞄を作りたいと思って進めていました。

神戸はコンパクトな街で、自転車や歩きで、海沿いや商店街などを回りやすいので、手持ちのものというよりショルダーがいい、などのイメージを固めていきました。

 

肩掛けの根元も取り外しがしやすいようにしました。

 

シンプルなデザインに、機能性・強度・使い勝手を盛り込んでいきました。金具も真鍮だとやわらかすぎるので、鉄を使っています。また、ホックやファスナーよりも開閉もしやすいようにしています。

 

ベースのデザインは共通にしつつ、カラーや帆布、皮革などの組み合わせでパターンオーダーとして8種類に展開できるようにしています

 

使って欲しいユーザーはカジュアルに楽しめつつも、日本の物づくりも好き、という人に届けたいと思い、そのような方を念頭において開発しています。

 

Q:最終的にどのような結果になりましたか?

 

試作ができてからは東京の展示会に出展しました。そこで良い声を色々といただいたのと同時に改善点なども聞くことができたので、商品に反映した後、その後にできた新店舗Walzで展開しました。

 

店舗では、コラボラボで決めたものをほぼそのまま販売し始めましたが、その後店舗で聞いた声を集めてパターンオーダーしたものを販売したりと、今も少しずつ改良を加えていっています。

 

Q:参加して印象に残ったことはありますか?

 

印象深かったのは、参加する前は仕事の特性上、皮革系とつながることは多かったですが、コラボラボは全く違う業種の人たちと交流することができました。当時は個別面談方式でしたが、他社の悩んでいることとかそれを突破した方法などを一緒に聞いたりすると、自分への励みになりましたね。商品を作る時に、コラボラボで作った資料を振り返って、商品作りに生かせるのもよかった点です。

 

阿江ハンカチーフ株式会社さんという播州織のメーカーとその時に繋がって、神戸をイメージしたタータン柄の商品を作りました。

 

神戸の海と、ポートタワーの赤と、六甲山の緑をイメージしたカラーを入れた商品です。播州織は普通、ある程度のロットが必要で、ストライプ柄自体も一定の生地の長さがいるのですが、それを阿江ハンカチーフさんがリスクを背負ってやってくれたことで実現しました。結果的には今もずっと仕事として繋がっていまして、東急ハンズさんやロフトさんなどで扱っていただいています。1色の生地でこれだけ売れるというのはなかなかなく、同じ生地で色々とバリエーションができたことで、阿江ハンカチーフさんにも喜んでいただいています。コラボラボで一緒に学んだ人と一緒にものづくりをできているのはありがたいですね。

 

Q:今後自社でどのように生かしていきたいと考えていますか?

 

コラボラボでは地場の素材や、弊社が繋がっている職人さんとの繋がりを大事にしてものづくりをしていかないといけないということに気づきました。また神戸のブランドをつかった神戸レザーブランドを展開していきたいと考えています。神戸の神戸牛は有名ですが、肉ばかりに目がいって、実はその皮革があまり活用されていないという実態があります。そこに目をつけて、神戸牛の皮革を使った、神戸レザーブランドを立ち上げましたので、もっと多くの方に知っていただきたいですね。

 

Q:今後参加する人に向けての一言おねがいします

悩んでるから参加というよりも、深く考えずに参加してみても面白いと思います。その方が自分が悩んでいることが後から分かったりすると思うからですね。コラボラボは次に行くきっかけが見えてくる場所だと思います。