Pickup Creators

2019.10.27

自分を見つめ、他者とつながれる写真の力を信じて

写交場 MEMORI 田村 広司

「実は」を掬い取り、自分を発見する場に

 

クリエイターの方々が集まる神戸・北野の「KITANOMAD」1階で1年前から「写交場 MEMORI」を運営してます。今やっていることの一つは写真教室。故郷の奈良で13年続けてきた教室を神戸でも開いています。みなさん最初は、「撮りたいものが何もなくて」から始まるのですが、問いかけをしていくと、「大切な人と死別して」とか、「将来のことが不安で」とか「実は」っていう話が出てくるんです。そして作品を撮影しながら自分自身を発見していくみたいなことをやってます。


1年間のコースで毎年最後に卒展を開いているのですが、去年は廃校の教室を自分たちで展示会場にしつらえて文化祭のようにわいわいと発表し、最後はマイムマイムを踊って盛り上がりました。青春の思い出作りができればと思ってます。

毎月1回「スナックピンぼけ」という交流サロンも開いています。月に1回、自分の撮った写真を気軽に持ち寄っていろんなことを話せる場にしてます。

写真だからこそできることの媒介役として

 

いまや多くの人がスマートフォンを持つ時代になり、写真は誰でも始められる間口の広い趣味になってます。子ども向けの写真教室も開いているんですけど、子どもって大人のようにかっこよく見られたいという承認欲求なんて全くなくて、対象へのまっすぐな好奇心だけで写真を撮っちゃう。

当時小学校3年生だったりょうへい君の撮った写真は温度やにおいが伝わってくる衝撃的な作品で、写真集にしようと言ったらりゅうへい君はすぐに「死骸とうんこと色と水」っていうタイトルを自分で思いついて。もうすごいでしょ。

個展「死骸とうんこと色と水」

 

写真ってうそつけないんです。うその気持ちで撮っていてもすぐにばれる。カメラを通すことで、物事、出来事を客観視できたり、俯瞰できたり、そして写真によって多くの人とつながれる。そんな写真の力を信じて、写真コミュニケーターと名乗ってます。

神戸からやりたいことを広げていく

 

僕自身も写真に救われてきました。東京の写真学校を卒業した後、モデルの写真を撮るスタジオでの下働きで、激務に疲れ果てしばらく写真から離れた時期があったんです。そして故郷の奈良に戻ってカフェを併設した写真スタジオを始めました。そこで主婦5人組から写真を教えてほしいと言われ写真教室が始まりました。そうやって自分を取り戻していくことができたんです。


縁あって神戸にスタジオを設けることになって今は奈良と神戸を往復する生活をしてます。スタジオは自分がたくさん撮るビジネスモデルを考えていたのですが、僕が撮るより、親御さんが子どもを撮影するような場にできたらと思うようになり、写真スタジオのあり方も再定義できたらと考えてます。

写真教室を来年は岡山、京都で、いずれは沖縄や東京でも開きたいんです。神戸って新幹線も空港もあってどこに行くのも便利。神戸を拠点にしながら、やりたいことを広げていければいいなって思ってます。