2025.07.30
こうべ産業・就労支援財団には企業からさまざまな相談が集まります。
その中から競争力強化、雇用拡大、持続可能な成長など、
企業の課題を解決するためにデザインの力が必要な場合、
「企業とクリエイターとの協業」を財団が後押しします。
デザインUPプロジェクト スキーム
本年度からはクリエイターを企業へご紹介する場合、
神戸クリエイターズノートの登録者から派遣する仕組みがこれまでよりも強化されました。
今後はさらにクリエイターの皆さまへご紹介できる案件が増え、
市内企業とクリエイターの皆さまとのマッチングをより積極的に行なっていきたいと考えています。
キックオフミーティング レポート
こうべ産業・就労支援財団が主催している「デザインUPプロジェクト」。
昨年度好評だったデザインUPプロジェクトの令和7年度版スタートに伴い、
キックオフミーティングが開催されました。60名を超える参加者があったその様子と
会場の熱気をレポートいたします!
オープニング
イベント冒頭には、こうべ産業・就労支援財団常務理事の森氏が登壇し、
デザインUPプロジェクトの目的やその意義についての解説がありました。
その後、こうべ産業・就労支援財団経営支援部課長の山本氏より、今回の募集の概要について説明されました。
続き、神戸市経済観光局新産業創造課オープンイノベーション専門官の中村氏より
神戸クリエイターズノートが行ってきたクリエイター支援の概要や企業とのマッチング事例についてのお話しがありました。
こうべ産業・就労支援財団常務理事の森氏
デザインUPプロジェクトの紹介
神戸市経済観光局新産業創造課オープンイノベーション専門官の中村氏
中村氏からは企業とクリエイターとの協業について、現在の課題や今後注力していくべき点についてのお話が聞けました。
その中でも「知り合う機会がそもそも少ない」、「どう相談すればいいか分からない」といった
企業側の声は参加されたクリエイターの皆さんのヒントになったのではないでしょうか。
オープニング終了後は、昨年度デザインUPプロジェクトを活用された
企業・クリエイター2組によるパネルディスカッションが開催されました。
【プロジェクト事例】
■1組目
・新商品の販売に向けたロゴ・チラシ・パッケージ等の制作(株式会社トキワ×株式会社RIGADEL)
■2組目
・採用力の強化に向けたHPのリニューアル(株式会社オオナガ×株式会社ミチスジ)
【パネラー】
・株式会社トキワ 専務取締役 福井 一仁氏(依頼企業)
・株式会社RIGADEL 代表取締役 藪内 恭亮氏(クリエイター)
・株式会社オオナガ 営業管理課 課長 古川 由美子氏(依頼企業)
・株式会社ミチスジ 代表取締役 中澤 俊介氏(クリエイター)
【ファシリテーター】田名部 真理氏
左:株式会社トキワ 福井氏、右:株式会社RIGADEL 藪内氏
・概要
新商品の販売に向けたロゴ・チラシ・パッケージ等の制作
トキワ社が開発した足裏健康器具(足ツボマッサージ器)のブランディング、
ロゴ、チラシ、パッケージデザイン等をRIGADEL社が担当されました。
・依頼までの経緯
トキワ社ではすでに新商品が完成、販売戦略を専門家に相談していたが、ビジュアルで分かりやすい取扱説明など
販売に必要な制作物を頼めるクリエイターを探すため、第1回のキックオフミーティングに参加。
そこでRIGADEL社の藪内氏と出会い、意気投合してプロジェクト実施となりました。
・支援内容
株式会社RIGADEL 藪内氏による丁寧なヒアリングが実施され、新商品のターゲットに合わせたブランディング戦略が作られました。
プロジェクト内で、ロゴ、チラシ、パッケージのデザイン等を制作。追加で商品紹介のための動画も制作する契約が成立しました。
動画撮影と編集は藪内氏がディレクションし、撮影業者の協力を得ながら完成までこぎつけたそうです。
・成果
– ロゴ、チラシ、パッケージデザインが完成
– 当初予定外だったPR動画の発注につながる
・プロジェクト終了後の感想
福井氏「デザインについては全くの素人なので、プロの方から直接アドバイスをいただけたおかげで商品がより良いものになったと感じています。
藪内さんはプロでありながらも、わかりやすい言葉でご説明くださるので、非常にありがたかったです。」
藪内氏「例えば『かっこよくしてほしい』というご依頼でも、どんなかっこよさなのかはお客様によって異なります。
できるだけイメージを具体的にできるように、細かくすり合わせをさせていただくようにしていました。
追加でご発注もいただき、よい商品のブランディングに携わらせていただけて貴重な機会になりました。」
・概要
採用力の強化に向けたHPのリニューアル
正社員採用を強化するため、HPの採用ページを充実させたいと考えていた古川氏。
そこで、デザインUPプロジェクトを活用し、中澤氏とマッチングされました。
・支援内容
株式会社ミチスジの中澤氏はリニューアル前のHPを確認した際に募集要項と社員の声のみが掲載されている状態で、オオナガという企業の魅力が十分に伝わっていないと感じたそうです。そこで、国内外に工場がある点や20代の若手社員が多いことや他の工場にはない福利厚生がある点も新たに訴求できるようコンテンツを見直しました。
・成果
– 採用ページを大幅リニューアルできた
– 企業の特徴や魅力をより具体的に伝えるコンテンツを追加
– 若手社員のインタビューなど、多様な声を掲載
– 飛行機部品製造という専門性と、創業47年の堅実さを強調
– 既存のWordPressの技術的制約の中で改善を実施
・プロジェクト終了後の感想
古川氏「私自身気づいていなかった当社の魅力を引き出していただき、魅力的なページを作ってくださいました。
また、技術的・予算的制約の中で最大限の効果を追求していただけたのも非常にありがたく、ぜひ今後もご一緒させていただきたいです。」
中澤氏「実際に工場を見せていただいたことはもちろん、
日頃のオオナガ様の取り組みを詳細にお話しいただいたことで、よりリアルな情報を引き出せたと思います。」
「デザインUPプロジェクトの一環として開催されたクリエイターピッチイベントでは、
多様な分野のクリエイターが自身のサービスや実績のプレゼンテーションを希望しました。
ここでは、抽選により登壇した5名のクリエイターをレポートします。
株式会社SOTTO 増田 早紀氏
株式会社SOTTOのプレゼン内容
建築士とデザイナーとして、ロゴデザインや空間の内装デザインを手がける。
ブランドのコンセプトや思いを形にして、長く使っていただけるデザインの提案はもちろん、
女性向けの情報デザインも得意とし、上品さと可愛さのある情報設計をしており、
女性をターゲットとしている店舗実績が多数。
株式会社スカイトーン 宇都宮 哲平 氏
株式会社スカイトーンのプレゼン内容
ドローンとkintone(ノーコードツール)を活用した企業や自治体業務のDXと人材育成を通じて、地域課題の解決に取り組む。
ドローン・空間情報事業においては、測量・点検・フォトグラメトリー・3D Gaussian Splatting(3DGS)など、
空間情報の取得と可視化を支援している。自治体や企業の現場に即した導入実績も多数。
ART COSMIC DESIGN 伊藤 辰徳 氏
ART COSMIC DESIGNのプレゼン内容
自動車のデザインを中心に、3D立体に関するプロダクトデザインを15年手がける。企画からデザイン、
データ化までの一貫サービスを強みに、トヨタのアルファードをはじめ電気自動車のデザインも多数担当。
「恒久」「ダイナミズム」「独自性」を大切に、お客様の期待を遥かに超えるデザイン提案を強みにしている。
ぽかぽかラボ すなやま すなこ 氏
ぽかぽかラボのプレゼン内容
個性的な姿で登場いただいたすなやま すなこ 氏。印刷工場を母体としたデザイン会社での勤務経験をもとに、
現在はイラスト、デザイン、印刷データの4版データ納品までのワンストップサービスを提供。
特にパンダのイラストを得意にしており、オリジナルキャラクターは
イラストコンテストのキャラクター部門で優秀賞を受賞。パッケージやブランドコラボなどの実績も多数。
株式会社MOONO 坊池 剛 氏
株式会社MOONOのプレゼン内容
設計と施工の両方に精通した4名の少数精鋭で活動するデザイン施工の会社として、
空間にイノベーションを起こし、思いを添える空間作りを提供。神戸市須磨区で手がけた就労支援施設は、
働くことをポジティブに考えられる場所作りに重きを置き、カフェのような空間作りを行い、利用者からも好評を得た。
デザインUPプロジェクトは、中小企業とクリエイターをマッチングし、
事業支援を行う取り組みです。参加企業は課題解決や自社の魅力・強みを再発見でき、
クリエイターは新たな仕事の獲得につながるなど、双方の事業成長を後押ししています!
取材協力:公益財団法人こうべ産業・就労支援財団