マッチング事例

2026.03.31

デザインの力で経営課題を解決。 企業とクリエイターのマッチング最前線レポート②

こうべ産業・就労支援財団

◆STORY
神戸市内の中小企業とクリエイターをつなぎ、デザインの力で企業価値の向上を目指す「デザインUPプロジェクト」。この取り組みは、商品開発やブランドづくり、採用力の強化など、さまざまな分野でデザインの可能性を広げている。では、実際に参加しているクリエイターは、このプロジェクトをどのように捉えているのだろうか。今回はクリエイター視点から見たプロジェクトのメリットや、企業との協業によって生まれる価値について掘り下げていく。
 
クリエイター側が感じている「デザインUPプロジェクト」のメリットとは何でしょうか。

藤岡氏:
クリエイターの皆さんにとっては、このマッチングをきっかけに活動の領域を広げられたケースがいくつかあります。
特に中小企業の中でも製造業は横のつながりが強く、企業同士のネットワークが広いことが多いんです。そのため、プロジェクトで関わった企業からの評価や口コミが広がり、他の企業から新たな発注につながるといったことも期待できます。
ひとつの案件をきっかけに、新しい仕事や出会いにつながる可能性があるという点はクリエイターにとって大きな魅力だと思います。
また、普段は接点が少ない業界の企業と出会えることも、このプロジェクトならではの特徴です。製造業をはじめものづくりに関わる企業など、自分の専門分野とは異なる業界の課題に触れることで、新しい視点やアイデアが生まれることもあります。
こうした経験を通して、クリエイター自身の表現の幅や提案力が広がっていく。
「デザインUPプロジェクト」は、そうした挑戦の機会としても活用していただける取り組みになっているのではないかと感じています。
 

財団が間に入る本プロジェクトにおいて、クリエイターが戸惑ったりはしないのでしょうか。
藤岡氏:
基本的には財団の職員が提出物や進行面について細かくサポートする体制を整えているため、大きく困惑される方はほとんどいません。
ただし、本プロジェクトを進めるにあたり、しっかりと計画を立てていただくことを重視しています。制作期間や納期を明確に設定し、その計画に沿ってプロジェクトを進行していくため、最初は少し緊張感を持って取り組まれるクリエイターが多い印象です。
また、通常の直接受注の案件とは異なり、実施計画書、経過報告書、実施報告書といった書類の提出も必要になります。確かに手間に感じる部分もあるかもしれませんが、そのプロセスによって企業が抱えている課題や解決策を言語化し、取り組みの内容を整理することができます。
特に経営者とじっくり話し合う機会が設けられる点は、クリエイターにとって大きなメリットでもあります。企業の背景や課題を深く理解した上で提案を考えることができるため、結果的により本質的なデザインなどにつながることも多いのではないでしょうか。
今のところ、参加されているクリエイターの皆さんには丁寧に対応していただいており、プロジェクトも円滑に進んでいます。
 
企業とクリエイターの不安を払拭するために心がけていることはありますか。

藤岡氏:
本プロジェクトでは市内で活動するクリエイターとの連携を基本としており、実務面では「神戸クリエイターズノート」を通じて最適な人材の選定を行っています。また、これまで財団が関わってきたクリエイターの中から企業の案件に適した方がいれば、個別に声をかけるケースもあります。
つまり、企業側にはできるだけ多くのクリエイターの提案や考え方に触れてもらえるようにしているのです。
実際にはスムーズにマッチングが成立することがほとんどですが、その過程で財団が調整役として関わることが非常に重要だと考えています。
企業とクリエイターの双方にとって納得感のあるマッチングとなるよう、間に入りながら信頼関係を築くこと。
それが、このプロジェクトを運営する上で大切にしているポイントのひとつです。
プロジェクト開始以降、企業やクリエイターの意識や対応の変化は感じますか。
 

藤岡氏:
近年は、デザインの力を経営に取り入れる「デザイン経営」という考え方に注目が集まっています。企業の価値やブランド力を高める手段としてデザインを活用しようという動きが広がっていることもあり、企業側の意識も変化してきているように感じます。
それに伴い、クリエイターの皆さんも企業のビジネスや課題をより深く理解した上で提案を行おうという姿勢が強くなってきている印象があります。ヒアリングにしっかり時間をかけ、経営者と丁寧にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進める方が多いですね。
 

また、経営者の方々はクリエイターの対応力やコミュニケーションのスピードを重視する傾向もあります。丁寧な対応やレスポンスの早さが信頼関係につながり、そこから長期的な関係が生まれるケースも少なくありません。
こうした関係性の積み重ねが、企業とクリエイターにとって価値のある協業につながっているのではないかと思います。

プロジェクト終了後はどのような関係を築くことが多いのでしょうか。
藤岡氏:
多くの場合、企業とクリエイターはプロジェクト終了後も良好な関係を築いています。
再度同じクリエイターに依頼するケースもありますし、直接の発注にはつながらなくても、Webサイトの運用に関わるなど、継続的な関係が続くこともあります。
「デザインUPプロジェクト」は、単発の制作案件を生み出すことだけが目的ではありません。企業とクリエイターが長期的に協力し合える関係を築くことも、大きな狙いのひとつです。
財団としても、プロジェクトをきっかけに継続的なパートナーシップが生まれることを期待しています。

「デザインUPプロジェクト」にご関心のある方へメッセージをお願いします。
藤岡氏:
本プロジェクトは企業とクリエイターが出会い、それぞれの強みを掛け合わせながら新たな価値を生み出していくことを目指して実施しています。企業にとっては自社の魅力や技術をより効果的に伝えるきっかけとなり、クリエイターにとっては新しい業界や課題に触れることで、活動の幅を広げる機会にもなります。
私たちは、このプロジェクトを単なる制作支援にとどまらず、企業の売上向上や雇用の拡大といった地域経済の活性化につながる取り組みにしていきたいと考えています。企業とクリエイターの協業が継続的な関係へと発展し、新たなビジネスや雇用が生まれていく、そんな好循環を生み出す一助になれば嬉しいですね。

次年度も「デザインUPプロジェクト」の実施を予定しており、5月にはキックオフミーティングを開催予定です。プロジェクトに興味のある企業やクリエイターは、ぜひお気軽にご参加いただければと思います。

 

こうべ産業就労支援財団
https://kobe-ipc.or.jp/

デザインUPプロジェクト
https://kobe-ipc.or.jp/design-up