マッチング事例

2020.08.01

【ものデザインコラボLAB】開発事例:菓子メーカー 有限会社梅香堂

■今回開発した商品

こだわり抜いた安心素材の美味しさと匠の技術を感じる、フルーツとワッフルが出会って生まれたフルーツワッフル「KOBE Fruwa (コウベフルワ)」

 

■会社概要

昭和21年に創業。取引先から依頼を受けて製造したものを取引先が販売するという、OEMがメインの挟み焼きメーカーです。今もOEMが主軸ですが、自社商品の割合も増えています。初代は瓦煎餅で創業をしまして、そこから洋風のロールのワッフルクッキーや、ベルギーワッフルなどを開発しました。

鉄板で生地を挟んでやくから挟み焼きと言われています。生地の中の砂糖が飴状になって、飴が曲がって、冷えたら固まるという原理です。

 

戦後、物資がなかった時は神戸の贅沢焼きと言われていたそうです。瓦煎餅の原料である卵に加えて、当時の日本では手に入りにくかった砂糖と小麦が、当時の神戸ではそれぞれ台湾と四国から入る土壌だったので盛んに作られていました。

現在弊社で作っている、メインの商品はクッキーワッフルとベルギーワッフルの2つです。

 

以前は、生地をひいて、餡子をいれて生地を挟む瓦饅頭などもしていました。今は手焼きの型しかないのですが、復活させても面白いと思っています。昔はカステラは今よりも人気があったので、様々な形があって、弊社でも野球ボールやグローブの形をしたものもやっていました。野菜カステラというものも作っていましたね。

 


 

■インタビュー

 

Q:コラボラボに参加したきっかけを教えてください。

神戸市の工業課がされている展示会に行った時に、コラボラボの前身のデザイン道場というものの担当者を紹介してもらいまして、そこで面接に行って、参加することになりました。参加したのはデザイン力が自社に足りないと思っていたからです。当時はデザインさえ良くしたら売れるという単純な動機で参加していました。請負だけをしてきたなかで、新たな自社の柱を作りたいと思っていました。製品の中身は作れるが、顧客へ届けるようなデザインができなかったので、参加したらデザイン力が手に入ると思っていました。ですが、実際は商品にするまでの過程や考え方どんな場所でどんな顧客に買ってもらって、その先にどんなストーリーがあるのか、というところまで想像して商品を作らないといけないということを知りました。

 

Q:実際にコラボラボで取り組まれたことを教えてください

 

挟み焼きを使って何ができるのかを色々とアイデアを出していきました。まずは自社の分析をして、自社でどのようなことができそうかを出していって、そこから自社の技術をつかってどんなアイデアになるのか、といった具合ですね。そこで出したアイデアで今もまだまだ試してみたいものはたくさんあります。

 

自社分析の後は競合を洗い出すということをしました。挟み焼きの競合やお菓子の気になるところを調べました。そうすることで、自社にはデザインが足りないと改めて思いましたね。同時に、おしゃれなだけで、味がおいしくなかったりするものは自分の目指すところではないなとも思いました。

 

そのあとはポジショニングマップという、調べた企業を視覚的に並べてみて業界の分布具合や、自社の立ち位置、目指したい位置を出していきました。具体的にはおしゃれかそうでないか。材料が安いか高いか、女性的か男性的かなどを軸にとって、配置をしていきました。デザインがすごく気になっていたので、その軸で調べていきました。そこでも自社のデザインが思った以上にできていない部分が多いことを痛感しました。他には材料が安くてもうまくデザインして売れているものもあると思いましたね。

 

その次は、SWOT分析で自社の強みや活用できそうな資源を出して行きました。他にはコンセプトを立てて、どのような人に売りたいのか、というイメージマップも作っていきました。その時のイメージマップに上げていたブランドのほとんどに開発した商品を入れることができたので、売り場を想像しながら開発をすすめていくのがいかに大事か、今になって実感しています。

 

Q.2年目はどのように進めていかれましたか?

2年目は1年目でできた企画の商品を実際につくって、試食を進めて行きました。結果的にはフルーツを挟んだワッフルの”Fruwa”という現在の商品が出来上がったのですが、最初はこちらとキャラメルサンドの2つの試作品を候補とし、試食を繰り返す中でこちらにきまりました。

 

もともと、オレンジ、キウイ、リンゴを持っていきましたがそれだとまだ種類が足りないということで、レモンとパイナップルを足しました。他にも苺、マンゴー、メロン、梨、柿などを試作し、食感と甘味のバランスなど色々と試して今の形ができました。最終完成するまでに展示会があり、その時はまだ値段がきまっていませんでしたが、展示会での顧客の反応や原材料を再計算して、値段が決まりました。味が決まったあとはパッケージへ進みました。3つ案を出してもらい、過去に作った資料を参考にして、最終的なデザインを決めました。

パッケージは「花」というコンセプトで、花束をイメージしたデザインにしてもらいました。神戸という地域性も出す錨と、フルーツをイメージしたリンゴをイメージしたロゴもいれて、網目模様も足してもらっていまのデザインが出来上がりました。

 

Q:最終的にどのような結果になりましたか?

展示会では名刺を数えきれないぐらい交換したので、名刺交換した人に再営業しました。キャトルセゾンさんやTodays specialさんや、イノブンさんなどがその時につながりました。東京での展示会でしたので、神戸では普段知り合えないようなお客さんと繋がれたのがよかったです。そこから関東系の顧客が増えていきましたね。小売や百貨店以外でもOEMにつながりましたね。本当に当初想定したような売り場にほぼほぼいけてよかったです。やっぱり最初に書いて計画をしておくのは大事ですね。

 

Q:参加して印象に残ったことはありますか?

とりあえずデザインがオシャレだったら良い、ということが間違いだったことに気づきましたね。それまで散々それで失敗していたはずなのに、気づかずにきていて、コラボラボで気づきました。どんな人に、どんな手段で、どんなものを届けたいのか、ということをいままで一切合切考えずにやっていました。例えばとりあえず8万円でデザインしてあげるから、などの声だけきいてとりあえずでやってみたり、だまされたりして失敗していました。
また、普段の仕事をしていく中ではつながれない事業者の方と繋がれたのもよかったですね。パッケージも最初はたまたま見つけたところと進めていたのですがなかなかうまくいっていなかったところに、コラボラボのメンバーの方から紹介してもらった印刷屋さんと進めた途端、トントン拍子で進み出したりして、やっぱりつながりは大事だなと思いました。

 

Q:今後自社でどのように生かしていきたいと考えていますか?

また新商品を出したいですね。他には、OEMをするにあたっても、相手の言うことだけを鵜呑みにしてすすめるのではなく、こちらからも提案を織り込ませていったらより良いものができるのではないかと思うようになりました。それがお互いのためにもなると思います。今後もどんどんそのような形で新商品を作ったり、提案をしていったりしていきたいと思っています。