2025.06.12
Vol. 27
芝先亮蔵
|KOBE CREATORS NOTEに登録したきっかけ
知人のインタビュー記事を拝読したこともあり、以前からKOBE CREATORS NOTEのことは存じ上げておりました。神戸でフリーランスのデザイナーとして活動する私にとって、多くの学びやつながりの機会を提供してくれる非常に有益なサービスだと感じ、昨年登録させていただきました。
|CDジャケットで初めて意識した「デザイナー」という存在
高校時代は音楽に夢中でした。当時は音楽メディアとしてはCDが主流の時代で、いろんなCDを通して音楽に触れるうちに、次第に音楽そのものだけではなく、ジャケットのビジュアルにも面白さを感じるようになっていったんです。そのことがきっかけで、「デザイナー」という存在を初めて意識し、興味を持つようになりました。
そんなこともあり、今思えばとても浅はかですが「なんか面白そうかも」くらいの考えでデザインを学べる大学への進学を目指すようになり、岡山県立大学デザイン学部に進学。卒業後は岡山の百貨店のハウスエージェンシーで4年間勤務した後、目をかけてくださった方からお声がけいただき神戸のデザイン会社に転職し、神戸でのキャリアが始まりました。その後独立し、フリーランスのデザイナーとして今年で15年目を迎えます。
|エディトリアルデザインの面白さ
これまで手がけてきた仕事は、パンフレットや広報誌、レポートなどのエディトリアルデザインが多いですね。いろんな種類の情報を整理してわかりやすく伝えるということが得意なのかもしれません。冊子という形で、言葉、写真、イラストなど多種多様な要素を組み合わせて一つの世界を構築していくことはとても面白いですね。
といってもエディトリアルデザインに特化しているわけではなく、ビジュアルコミュニケーションに関する仕事を幅広く行っています。ありがたいことに、長くお付き合いさせていただいているお客様も多く、例えばミュージシャンの宮田ロウさんという方とはかれこれ15年以上のお付き合い。宮田さんのバンドのCDジャケットをデザインし、それをとても気に入ってくださったことがきっかけで、その後音楽スタジオの経営やソロでの音楽活動を始められてからも、デザインが必要なときはいつもご相談してくださり、今もお仕事をさせていただいています。そんな風に自分のデザインに価値を見出してくださり、長きにわたって信頼し続けてくださる方がいらっしゃるということは、デザイナーとして冥利に尽きますね。
|「協働」の楽しさ、「過程」の大切さ
他者の熱意やビジョンに自分が共鳴し、関与し、いわばある種の「化学反応」を起こすことで、個人では表現され得なかったものが形になるということに、面白さを感じます。動機が自分の「外」にあるからこそやりがいがあるというか。自分の手を通して形になったものが、誰かの役に立ったり喜んでいただけたりすることは、やっぱり嬉しいですしね。
また最近は、結果だけでなく「過程」が大切だということを、改めてつくづく感じています。仕事はもちろん一人ではできません。いろんな人がひととき、一つの目的に向かって協働する、その営みの過程がみんなにとって「いい時間」であるかどうか。みんなが「いい時間だった」と思えるような仕事であることがとても大切で、そんな「過程」を生み出すことに常にコミットできるデザイナーでありたいと考えています。そして、そういう過程を経ることができれば、自ずとよい結果が得られるのではないかとも。
|美術に触れ、思いを巡らす
最近の趣味は美術館巡り。こういう仕事をしているのに、以前は美術館に足繁く通うという感じでもなかったんですが、ここのところ美術作品に触れることが俄然楽しくなってきました。仕事をしていると些細なことに拘泥して煮詰まってしまうことがままあるんですが、長い歴史の中で人間が追求してきた美に触れ、思いを巡らすことが、よいリフレッシュにもなっています。
|神戸への想い、そしてこれから
私は地元が明石で、子どもの頃から神戸は一番身近な都会でした。今も神戸のお客様と多くお仕事をさせていただいてますし、神戸という街には愛着があります。KOBE CREATORS NOTEという場も活用させていただいて、これからも人との出会いやつながりを大切にしながら、少しでも神戸に貢献できるような仕事をしていきたいですね。