2025.12.12
ペットを取り巻く社会環境から病気を考える「コザクランラン」× 地域とのつながりを大切にしながら活動を広げるデザイナーKinokoillust&Design
STORY
ペットのためのエリザベスカラー工房として「トリザベスカラー®」「ネコザベスカラー®」の製作、販売を手がけるコザクランラン。パンフレットのリニューアルと、海外からの問い合わせが増えてきたこともあり英語版の作成を検討されていた。そのようなタイミングでイメージ通りのデザイナーと出会えたのがデザインUPプロジェクトのイベントだった。コザクランラン代表 竹林由香利さんと、デザイナーの矢田ミカさんにお話を伺った。
コザクランラン:
「ペットも飼い主さんも笑顔に!」 ペットのためのエリザベスカラー工房として、毛引きや自咬といった様々な悩みに耳を傾けながら、サイズや形のバリエーションにこだわったエリザベスカラーを制作。ペットたちと飼い主さんがもっと幸せに過ごせるよう、快適なペットライフのサポートを目指す。
Kinokoillust&Design代表 矢田ミカ:
見て頂く方に合わせた”やさしく伝える”を大切にしながら制作。今年一時期札幌を拠点にしていたが、また神戸に戻り活動中。ブログでは移住についてや、活動紹介、壁紙として使えるカレンダーイラスト配布も行っている。
主な実績は◯朝日中高生新聞「高校入試合格ごよみ」イラストカット◯NHK出版「NHKラジオ まいにちハングル講座」イラストカット◯NHK出版「中学生の基礎英語レベル1」イラストカット◯神戸市歯科医師会WEB動画◯神戸すまいの安心ガイドWEB用イラスト◯パナソニックミュージアム紙芝居◯イチジク製薬株式会社WEB動画 など。その他 実績多数。

トリザベスカラー®(左)から始まったシリーズパンフレット
−なぜ、神戸クリエイターズノートで新商品のデザイナーさんを探されたのでしょうか。
『トリザベスカラー®』の認知度向上に向け、イベント出展や全国の動物病院への広報活動を強化していこうと考えていたタイミングであり、新しいパンフレットを制作する必要がありました。
ビジュアルデザインを他の事務所さんにお願いしていたのですが、そのデザイナーさんは非常に人気でパンフレットの制作までお願いできなかったんです。これまで他の方にお願いした経験がなかったため、安心して依頼できる方に出会いたいという思いでデザインUPプロジェクトのイベントへ参加を決めました。
−どのような形で矢田さんに出会われたんですか?
竹林さん:実は、矢田さんとは会場ではなく会場からの帰り道のタイミングが一緒だったんです。ちょうど矢田さんが別の方とお話をされていて、話の内容からもデザイナーの方だと分かったので、せっかくだから相談してみようと思ったんです。阪急電車の改札近くで立ち話させていただきました(笑)。
他のデザイナーさんともお話しさせていただいたのですが、矢田さんは「相手のことを理解しよう」という姿勢が印象的でした。まだお願いするかも決まっていない段階から、詳しく商品のことについて聞いてくださり、どのように魅せるべきなのかアドバイスもくださったんです。また、会話に無駄が一切なく、雑談はしつつも話を整理しながらまとめてくださり、「この方なら安心して任せられる」と感じました。
−矢田さんには具体的にどのようなことをご依頼されたのでしょうか?
竹林さん:パンフレットデザインのブラッシュアップと、英語対応をお願いしました。翻訳は矢田さんがお知り合いの方にお願いしてくださり、外国人の方が読んでも違和感がないかをチェックいただきました。
依頼時にお願いしたのは、内容を過不足なく伝えたいということ。医療関係者の方も見る資料になるため、必要な情報がしっかり掲載されつつも、商品のポイントや魅力もアピールしたいと考えていました。
−はじめてお仕事をご一緒されるなかで、不安に感じることはありましたか?
竹林さん:自分の思いが矢田さんにきちんと届くのかは正直不安でした。ですが、実際にお願いしてからはそのような不安は一切ありませんでした。
特に印象に残っているのは、キャッチフレーズの部分です。
「ペットを取り巻く社会環境から病気を考える」というキャッチフレーズは
私がいろいろな飼主さんから相談を受ける中で浮かんできた言葉です。
エリザベスカラーが必要になるのは飼育方法だけが問題なのではなく、病気になりやすい動物が流通している社会基盤に原因があるのでは…と思うようになったからです。
商品パンフレットに載せるには少し過激な印象を持たれてしまうのではないかと危惧していました。
ですが、その話を矢田さんにしたところ「むしろその思いをしっかり伝えた方が良い」とアドバイスをいただいたんです。私自身、「トリザベスカラー®」や「ネコザベスカラー®」自体を売りたい、というよりもコザクラインコをはじめ、病気のリスクがあるペットが流通している現状に疑問に感じていたのですが、その思いが商品自体の魅力になると後押ししてくださったのが矢田さんでした。キャッチフレーズを入れることは私にとって大きな挑戦でしたが、「入れても大丈夫なんだ」と勇気をもらえた気持ちがしました。

「ペットを取り巻く社会環境から病気を考える」というキャッチフレーズはパンフレット表紙に配置されている
−改めて今回のマッチングを通してこうべ産業・就労支援財団の支援はいかがでしたか?
竹林さん:このような機会がなければ矢田さんと出会うことはできませんでしたし、素敵なパンフレットもできていません。普段仕事をしている中でも違う職種の方と出会う機会はそうそうないので、非常にありがたい支援だと感じました。オンラインではなく1対1でカジュアルにお話ししながら相談できる点や、複数の方から自分に合うクリエイターさんにお願いできる点も魅力的だと思います。
−最後に、コザクランランさんの今後の展望をお聞かせください。
竹林さん:エリザベスカラーは元々、去勢の際に使用するものという印象が根強かったのですが、最近では病気の鳥や猫などの動物が使用するという理解も広がってきました。私自身がその社会環境を解決することはできませんが、まずは「トリザベスカラー®」「ネコザベスカラー®」などを通して一緒に考えてくれる人を増やしていきたいです。
最近では海外から購入を希望されるお客様も増えているので、今後は英語版だけではなく中国語版や他の動物用、総合パンフレットなども増やしていきたいと考えています。最終的な目標はエリザベスカラーを付ける子たちを減らすことです。他の動物用カラーや消耗品などをリリースしながら、必要な人に必要な時に必要な物が 届けばいいなぁと思っております。
−続いて、パンフレットの作成に携わられた矢田さんにお伺いします。全体を通して印象に残ったことや工夫された点はありますか?
矢田さん:情報量が多かったので、伝える相手がすぐ理解できるよう、内容を整理しコンパクトにまとめるよう提案しました。ターゲットである「小鳥の病気で困っている飼い主さん」に向けて、必要な情報を絞り、分かりやすい構成にしました。

パンフレット中面。さまざまな要素が項目ごとに整理されていて見やすい誌面になっている
−今回はイラストよりもデザインの要素が強かったように感じます。もともと両方されているんですか?
矢田さん:はい。イラストレーターとして活動を始めましたが、会社員時代は文房具や雑貨の企画デザインが中心でした。商品化に必要なイラストも自分で描いていたので、企画・デザイン・イラストすべてを経験してきました。今回の案件でも、商品販売の流れを理解しながらデザインできたと思います。

Kinokoillust&Design WEBサイトのトップに掲載されているイラスト作品
−今回のマッチングを通して、こうべ産業・就労支援財団の支援はいかがでしたか?
矢田さん:私は長年神戸で活動しており、今年、一時期札幌を拠点にしていましたが、また神戸に戻り活動しています。神戸も札幌も、知り合いを介さないと受注につながりにくく、クリエイターに発注した経験が少ない企業が多いなど、クリエイターを取り巻く環境に課題は多いと感じます。
そのため、私は普段から交流会や産業系の支援イベントにも多数参加させていただいており、なかでもデザインUPプロジェクトはマッチング後もサポートをしてくださるので非常にありがたい支援だと感じています。
コザクランラン:WEBサイト
https://kozakuranran.jp/
インスタグラム
https://www.instagram.com/kozaku.ranran/
Kinokoillust&Design :WEBサイト